この記事は、基本図解解説記事の「並べるタイプの資料で”列挙”をマスターしよう」の応用編です。
上記の記事で解説していますが、並べる図解は特徴やメリット、事例など並列の要素を並べる方式でしたが、今回説明するのは「並べて・比較する」図解です。
・プランの比較
・Before/After(製品導入前後の比較)
・〇〇をする場合/しない場合
など色々な場面で使える形式ですが、この記事では
「クライアントに自社と競合製品との比較図(表)を資料として提出する」
という場面を想定して資料の作り方を解説します。
1)競合比較スライドの基本形
・基本はヨコに比較対象、縦に比較要素
競合比較は一般的に「表形式」で表現します。
実は街中にもこれと同じような表現方法はよく使われています。
例えば携帯電話の料金のプラン比較などですかね。
資料作成の猛者達が集うコンサル会社でも基本的に同じフォーマットを用います。
ということで色んな人に伝わりやすいようにこれにならって
・ヨコに自社、A社、B社、のように比較対象を
・縦に比較要素a,b,c… のように比較要素を並べる 表形式にします。
<ポイント①:別にエクセルで作ったっていい>
一番簡単に競合比較表をつくるのであれば、パワポを使わずにエクセルで表を作成するのも手です。
例えばこんな感じでできあがります。
もちろんこれでも内容としては伝わるものになります。
しかしこのページの後半で解説するようなデザイン調整をする場合、エクセルだと限界があるので僕は基本的に競合比較表のスライドはパワーポイントの四角形を並べて作成することをおすすめします。
社内用資料や会議中に作成するファシリテーション用の整理など、あまり見栄えにこだわる必要がないケースならエクセルで十分だと思いますのでシチュエーションによって使い分けましょう。
<ポイント②:パワーポイントの表機能は使わない>
色々な書籍で、こうした表組みをパワポで作成する場合には「パワポの表機能」を使うようにおすすめされていますが僕は下記の理由から個人的にはおすすめしません。
1. 全体のサイズをまとめて調整がしにくい
スライドを作り込んでいく過程で色々と要素が増えて、表を含むすべての要素(表+タイトル+文章など)のサイズを一気に調整してスライドにちょうどよく収まるようにレイアウト調整する、ということは多々あるかと思います。
そんな時通常の図形で作成したものであれば、全体をグループ化してサイズを調整することが簡単にできますが、テーブル機能を用いてつくられた表はその他の図形と一緒にグループ化することができません。
「え、じゃあ最初からうまくおさまるようにつくるだけじゃん」という話ではあるんですが、そうもいかないケースが大半だと思います。
2. テーブル内の「列幅の調整」がしにくい
例えば一番左の列だけ幅をせばめる、のようなケースですが、
パワポの表機能は列幅の調整がしにくいです。1つの列幅を調整すると他の列の幅が同時に変わってしまうからです。
いずれに関しても、自分がつくったスライドを誰かにレビュー/調整してもらう、というケースのときなどにこれが発生すると非常に相手にとって面倒をかける状況になります。
もちろん「絶対に使うのがだめ」ということはもちろんありません。
むしろ一般的に書籍等ではそちらが推奨されています。
もしあなたが色々とスライドをつくっていくなかでパワポの表機能にわずらわしさを感じたら利用するのをやめましょう。
2)表に「評価」を記入する
一般的に☓、△、○、◎を用いて、3から4段階の評価をします。
その際に「なぜその評価になるのか」も記載してより伝わりやすくするのも手です。
また、比較要素が1階層におさまらないときは構造にすることも有効です。
※一般的に3階層以上になると逆にわかりずらくなってくると思いますので注意しましょう。
▽評価の理由を記載してもいい
▽必要ならば左部分の「評価要素」を階層化
3)うまく比較要素を抽出できるか否かがポイント
競合比較を行う際には「どの要素で比較するか」がキモです。
どんな企業にもはまる万能の項目はありませんが、この観点に留意して項目を抽出しよう、という考え方についてご説明します。
1) 相手の目線に立ったときに気にすべき要素は網羅しておく
買い手には自分たちならでは“購入のための条件”があります。
競合比較を行う際にはその条件を自社のツールが一番満たしていることをしっかりと伝える必要があります。
つまり顧客が明確に
- 〇〇ができるかどうか
- 〇〇部でも使いこなせるかどうか が選定の観点です、
と言っている場合はもちろんその項目は比較表に含まれている必要があります。
じゃあ顧客が実際に口に出した項目だけ比較すればよいのか、というとそうではなく、「もし自分が相手側の決裁者だったら」という目線で項目をここに足していきます。
例えば、
- 価格はどうなの?
- サポート体制は?
- データの移行方法は? など
相手の規模、業種、だからこそ気にするであろう項目を追加します。
顧客は気にしていることをすべて口に出してくれるわけじゃありませんし、「そもそも顧客自身が購入のための条件を適切に頭の中にリストアップできていない」というケースは少なくありません。
逆に「いやいや、うちらはそんなニーズないからそこをアピールされても・・・」という項目が比較表の中にあると買い手は白けてしまいます。
そうならないように顧客の顕在的なニーズと、顧客も気づいていないような潜在的なニーズの両方をしっかりと比較表に組み込めるように、商談を通じて質の高いヒアリングを行うことが重要です。
2) 嘘や無理をして自社をよく見せない
当たり前のことのようですが、営業を担当する人間としては、せっかくの機会だから受注したいと思うのが一般的です。
そうすると、本当は自社ツールの評価が△でも○にしてしまったり、他社ツールが○でも何かしら理由をつけて△にしたり、そもそもあまり調べずに☓にしたり。
誰しもその誘惑にかられたことは1度くらいはあるのではないかと思います。
この点については会社によってスタンスはさまざまでしょうが、
僕は個人的には、本当に目の前の顧客にとって、ベストな選択肢はどうみて他社の商品だ、といえる状況のときはそのように顧客に正直に伝えるべきだと考えています。
無理して売ってもどこかでツケがきますし、将来的に自社のブランド価値を傷つけることになりかねません。
とにかく誠実に比較しましょう。
■競合比較のテンプレ
いちいち毎回ゼロから競合比較表をつくる必要はありません。
1回作ってしまえばだいたい会社が変わらない限りはそれを改良することで次回以降は乗り切れるはずです。
ただ、自社にちょうどよい参考ファイルがない、というケースもあるかなと思いますのでこのページでご紹介したテンプレファイルのデータを準備しました。
必要な方はお役立てください!
▽ダウンロードはこちらから